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【遺伝的欠陥】 繁殖させてはいけない犬

犬には、生まれつき遺伝的な疾患を持って生まれてくる子がいます。
遺伝的な疾患でそれが遺伝する場合、その遺伝病を持つ親犬を繁殖犬としてブリーディングさせると、仔犬にもその遺伝的な疾患が遺伝してしまう場合があります。
遺伝しないかもしれないし、遺伝病を持っているからと言って、交配させないのはかわいそうとおっしゃる方もおられるかとは思いますが、遺伝病を持って生まれた為に、後から遺伝病を持つ仔犬の飼い主さんに大きな負担がかかる場合もありますし、短命で仔犬が死んでしまう可能性だってあります。ですので、遺伝的な疾患を持つ親犬を繁殖犬として子供を生ませることには、私は疑問を持ちます。

【メンデルの法則】 遺伝病の仕組み

皆さんは、小学校の教科書で「メンデルの法則」というものをご覧になったことがあるかと思います。角ばった豆と丸い豆を受粉させて豆を作ると、丸い豆ばかりが出来るというものです。
そして、その丸い豆をさらに交配させると、丸い豆から角ばった豆が出来てしまうというものです。
これはなぜ起こるのかというと、一回目の受粉では丸い豆になる優性遺伝子が優先して発現してしまうので、角ばった豆は出来ないけれど、角ばった豆の発現しにくい劣性遺伝子を持つ豆を受粉させると、角ばった豆の劣性遺伝子のみを持つ豆が出来てしまうからです。
ところで、先ほども述べましたように、遺伝病には優性遺伝(遺伝子を持っていると発現しやすいもの)と、劣性遺伝(遺伝子を持っていても発現しにくいもの)の2種類があります。
つまり、優性遺伝子と劣勢遺伝子が混ざっていると、優性遺伝子の方が優先して発現してしまうので、劣性遺伝子が発現しないのです。
これは、遺伝的には欠陥を持っているのに、その遺伝子が発現しない「キャリア」の存在を生みます。このキャリアが繁殖を行うことで、不具合を持った遺伝子がばら撒かれてしまう可能性が大きくなります。
ですので、繁殖をしようとお考えの方は、その親犬が遺伝的な欠陥を持っていないように見えても、「キャリア」であるかどうかを遺伝子検査で確認されたほうが宜しいかと思います。
A = 優性遺伝の遺伝子(遺伝子を持っていると発現しやすいもの)
a = 劣性遺伝の遺伝子(遺伝子を持っていても発現しにくいもの)
通常は、Aとaの遺伝子の組み合わせで遺伝的な要素が発現します。
もし仮に、劣性遺伝子に遺伝病が隠れていたとしたら、親犬の遺伝型によって発現するケースは以下のようになります。
親犬 AA
(優性遺伝子)
Aa
(キャリア)
aa
(劣性遺伝子)
AA
(優性遺伝子)
AA(優性遺伝子) AA(優性遺伝子)
Aa(キャリア)
Aa(キャリア)
Aa
(キャリア)
AA(優性遺伝子)
Aa(キャリア)
AA(優性遺伝子)
Aa(キャリア)
aa(劣性遺伝子)
Aa(キャリア)
aa(劣性遺伝子)
aa
(劣性遺伝子)
Aa(キャリア)
aa(劣性遺伝子)
Aa(キャリア)
aa(劣性遺伝子)
aa(劣性遺伝子)
■ 劣勢遺伝子しか持たない親犬同士
(劣勢遺伝子をまったく持たない子しか生まれない)
AA ×AA = AA・AA・AA・AA
■ 劣勢遺伝子しか持たない親犬と、まったく劣勢遺伝子を持たない親犬
(劣勢遺伝子をまったく持たない子と、劣勢遺伝子を持つキャリアが生まれる)
AA ×Aa = AA・AA・AA・Aa
■ 劣勢遺伝子しか持たない親犬と、まったく劣勢遺伝子を持たない親犬
(劣勢遺伝子をまったく持たない子と、劣勢遺伝子を持つキャリアと、遺伝病を発現する子が生まれる)
AA × aa = AA・Aa・Aa・aa
■ 劣性遺伝子を持つキャリアの親犬と、まったく劣勢遺伝子を持たない親犬
(劣勢遺伝子をまったく持たない子と、劣勢遺伝子を持つキャリアと、遺伝病を発現する子が生まれる)
Aa ×AA = AA・AA・AA・Aa
■ 劣性遺伝子を持つキャリアの親犬同士
(劣勢遺伝子をまったく持たない子と、劣勢遺伝子を持つキャリアと、遺伝病を発現する子が生まれる)
Aa × Aa = AA・Aa・Aa・aa
■ 劣性遺伝子を持つキャリアの親犬と、劣勢遺伝子しか持たない親犬
(劣勢遺伝子を持つキャリアと遺伝病を発現する子が生まれる)
Aa × aa = Aa・Aa・aa・aa
■ 劣勢遺伝子しか持たない親犬と、まったく劣勢遺伝子を持たない親犬
(劣勢遺伝子を持つ必ずキャリアが生まれる)
aa × AA = Aa・Aa・Aa・Aa
■ 劣勢遺伝子しか持たない親犬と、劣性遺伝子を持つキャリアの親犬
(劣勢遺伝子を持つキャリアと遺伝病を発現する子が生まれる)
aa × Aa = Aa・Aa・aa・aa
■ 劣勢遺伝子しか持たない親犬同士
(絶対に遺伝病を発現する子が生まれる)
aa × aa = aa・aa・aa・aa

遺伝病一覧

遺伝病には様々なものがあります。
遺伝病の中には、犬種によって特に発症しやすい遺伝病があります。
劣勢遺伝の遺伝子による疾患もありますので、ブリーディング(繁殖)される方は、遺伝子のテストを行ってから繁殖をするように心掛けましょう。
遺伝疾患 遺伝疾患の内容
股関節形成不全 股関節の異常。股関節形成不全発症には、遺伝的な要素と環境的な要素(食事・運動)の両面がある。
咬合不整 咬み合わせが悪い(受け口・歯並び・歯の本数の異常)
先天的心臓障害 心臓病
膝蓋骨脱臼(パテラ) 後ろ足の膝関節が外れる関節の疾患。膝蓋骨脱臼(パテラ)の発症には、遺伝的な要素と環境的な要素(食事・運動)の両面がある。
片睾丸・停留睾丸 睾丸の異常
アルビノ まったく色素を持たない個体。
体が弱く、病気を起こしやすい。
癲癇症 強い痙攣が起こる疾患。
水頭症 脳脊髄液が脳室に溜まることによって起こる。
圧迫される脳の部位によって様々な症状が起こる。
進行性網膜萎縮 目が徐々に見えなくなっていき、時間がたつと全盲になる。
コリーアイ 目の疾患。(全盲になる可能性もある)
セロイド・リポフスチン症 恐怖心・歩行異常・行動異常など。
難聴 聴覚の機能不全。
骨軟骨炎 関節が変形する疾患。
フォンウィルブランド病 出血性の疾患。(出血しやすく止血しにくい)
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