【頭数激減】 街からラブラドールが居なくなった理由

毎日の散歩は、空気の良い公園や、山や川や、山の小道に車で行くことが多かったうちの犬。

そういう場所にわざわざ車で来るような家の犬は、大事にされまくっている 『箱入り犬』 が多いが、よく散歩中に出会った、うちの犬と同じラブラドール・レトリバーの犬も同じく箱入りだった。

人から大事にされまくっているせいか、人への懐きっぷりが半端ない。

そんな大事にされていたそのラブラドールだが、うちの犬と同い年で、生まれた日も物凄く近いと言う、なんとも奇遇な犬だった。

あまりにも奇遇だったので、お散歩中に出会うと、挨拶した後で立ち話が定番になっていた。

その後、何故かその犬と飼い主さんとは出会わなくなった。
私の知る限り、お散歩中に出会わなくなった場合の多くが、飼い犬が亡くなってしまったことが原因であるため、とても心配していた。

その数年後、ひょんなことからその飼い主さんと近所のスーパーで出くわした。
その際に聞いた話では、その犬は 11歳で(悪性)リンパ腫で亡くなったのだと言う。
((悪性)リンパ腫とはリンパ球が癌化したもの)

近年はリンパ腫が増えているのか、リンパ腫の犬の話をちらほら耳にする。
感染症や寄生虫の予防や治療法が進み、それらで死亡する犬が減ってきた昨今、残る死亡原因で、未だ完治が難しい癌で死亡する犬が増えてきているようだ。


犬と猫の死亡原因となる病気TOP10


1位 ガン  54%
2位 心臓病 17%
3位 腎不全 7%

その犬は、腹部のリンパ節が癌化してしまったらしく、発見当初から治療が難しい状態だったが、一縷の望みをかけ、腹部のリンパ腫を手術で切除した。
しかし、予後が悪く、手術後1ヶ月で亡くなってしまったのだと言う。

うちの犬は12歳(あと1週間で13歳だった)で亡くなったが、同じくリンパ腫だった。
8歳以上の犬でリンパ腫になる犬が多いようだが、うちの犬もその犬と同様、高齢だった。


次もラブラドールが飼いたいけど

その方もおっしゃっておられたが、やはりまた犬が飼いたい気持ちはあるのだと言う。

ただ、犬は犬でもラブラドール・レトリバーの魅力は凄まじく、できれば次もラブラドール・レトリバーを飼いたい気持ちはあるのだが、如何せん、ラブラドールは病気になった時が大変なので、二の足を踏んでいるのだそうだ。

体重が重く、軽い子でも20kg程度はある。
腰や肩や背中を痛めてしまうと介護が大変になる上に、ラブラドール・レトリバーが自力で立ったり歩いたりができなくなってしまうと、女性の飼い主一人では病院へ通院することが困難になる。

なので、女性や関節などに難のある高齢者の場合、最低でも10kg以上あるものを持ち上げられる 『 二人以上の誰か 』 が必要だ。

もちろん、筋力の高い成人男性であれば、一人で20〜30kg以上の犬を抱えて病院につれていくことも可能だとは思う。

実際に、熱中症でぐったりとした、ゆうに40kgはあろうかと言うバーニーズを一人で抱え、動物病院の診察台に乗せていた男性もいた。

だが、男性の多くが働いている。
時には、深夜まで残業したり、タイムシフト制だったり夜勤だったりして、上手く診察時間に病院にいけないこともある。

また、犬を飼いはじめた当初は夫婦で飼いはじめたものの、夫が病気などで体が動かせなくなったり、先に亡くなったりで、犬の通院は奥さんだけになるケースもあり得る。

そんな中、奥さんだけで、終末期や病状が著しく悪化した20kg以上もあるラブラドール・レトリバーを病院に連れて行けるのかと言うのが問題になってくる。

もちろん、獣医師に往診に来てもらうと言う手もあるが、手術予定が混み合っていてどうしても往診できないと言うことも多々あるので、往診があるから大丈夫と言うわけにもいかない。

そんなわけで、その方も 「 犬がほしい、できればラブラドールを! 」 とは思っているものの、なかなか飼うことが出来ずに悩んでおられるようだった。


別の犬を飼った人

動物病院では、様々な犬とその飼主さんを目にする。
そんな飼い主さんの中には、「うちも前はラブを飼ってたのよ」とおっしゃる方もいる。

でも、次は柴犬だったりプードルだったりして、何代もラブラドール・レトリバーを飼い続ける飼い主さんはほとんどいなかった。

やはり、大型犬ゆえの通院・介護の問題があり、抱っこして通院できる程度の大きさの犬に落ち着いていくようで、「 ホントは飼いたいんですけどね・・・ 」とおっしゃる方が多かった。

また、ラブラドールなどの大型犬は食費も治療費もトイレシート代などの日用品の額も、小型犬よりもうんと高いため、通院・介護の問題がなくても飼い辛い。

特に、介護用のおむつ
中・小型犬用の介護用のおむつは一枚辺りの値段が安い。

さらに、動物病院で聞いた話では、生まれてすぐに断尾した中型犬の場合、人間の子供用のおむつが使えることもあるらしく、その場合、かなり安くでおむつを買うことができるのだそうだ。

ところが、大型犬用の介護用のおむつは一枚あたりの値段が高い。
また、断尾する犬種もほとんど居ない。
これが、寝たきりの犬の介護や看病をしだすと露骨に響いてくる。


犬を飼えなくなった人

それでも、次の犬を飼う機会に恵まれた人はまだ幸運だ。

経済的な理由や、自身の病気や、身内の病気や介護や、家族構成の変化(お世話できる人が減る)などにより、次の犬を飼うこと自体を断念せざるを得ない人も多い。

以前、散歩中にうちの犬を撫でさせてとお願いしてくる女性がいたが、その女性は、昔、ラブラドールを飼っていたのだと言う。

その方は、その犬を実に大切に育ててきたらしく、まだ高齢犬用の介護用品が充実していない頃にあって、おむつは自作の布おむつを、その他の介護用品や通院用の担架も自作し、食欲が落ちてきてからは、食事も手作りで消化の良い物を作り、老衰で亡くなる15歳までラブラドールを飼い続けたのだと言う。

でも、現在は事情があって犬を飼うことができず、ラブラドールを見つけては、撫でさせてもらうのだとおっしゃっていた。


街から消えたラブラドール・レトリバー

そのようなわけで、ラブラドール・レトリバーを飼いたいことは飼いたいが、止む終えず別の品種を飼ったり、犬を買うことを諦める人は多い。

そのせいか、街や公園などでラブラドール・レトリバーを見かけることは減ってしまった。

だが、これは私も思い違いで、『 実際には、ラブラドール・レトリバーはいるところにはいるのでは? 』 と言う疑問があったので、少し調べてみることにした。


2015年(1月〜12月) ジャパン・ケネルクラブ


これは、2015年にジャパン・ケネルクラブに登録しているラブラドール・レトリバーの頭数だ。
何と驚いたことに、4,000頭を下回っている。

17 ラブラドール・レトリーバー 3,998

それではと言うことで、1位から10位までを見てみると、全てが中・小型犬になっており、大型犬は1頭もいなかった。

順位 犬種 頭数
1 プードル(トイ76,992・ミニチュア122・ミディアム170・スタンダード771) 78,055
2チワワ51,329
3ダックスフンド(カニーンヘン5,667・ミニチュア21,404・スタンダード57)27,128
4ポメラニアン16,836
512,470
6ヨークシャー・テリア11,969
7シー・ズー9,454
8ミニチュア・シュナウザー8,889
9マルチーズ8,536
10フレンチ・ブルドッグ7,643

これは、今に始まったことではなく、ジワジワと進行していることのようだった。

2013年は、4,477頭。
2014年は、4,085頭。


2014年(1月〜12月)

2013年(1月〜12月)


1999年と2000年のデータを見てみると、何とラブラド−ル・レトリ−バーは 27,000頭以上もいた。
ラブラドール・レトリバーは、2000年は5位、1999年は4位と言う人気犬種だった。


2000年(1月〜12月)

1999年(1月〜12月)


ラブラドール・レトリバーが街から居なくなったように感じたのは 『 事実 』 だった。

欧米諸国では、現在でも、ラブラドール・レトリバーは今でも人気犬種のようだが、日本ではすっかり人気がなくなってしまった。


世界の人気犬を調べてみた

英国 人気犬種ランキング


欧米では寝たきり介護・看病問題はないのか?

ラブラドール・レトリバーは大きな犬なので、先程も書いたように、寝たきりになると一人で通院したり、介護したり看病したりは難しくなる。

では、欧米ではラブラドール・レトリバーが立ち上がれなくなった場合、どうしているのだろうか?
そんな疑問があったため、調べてみることにした。

すると、どうやら犬が回復不能な寝たきり状態になった場合(自力で立ち上がれなくなってしまった場合)は、安楽死を勧める獣医師と、それを選択する飼い主が多いようだった。


飼主が依頼する、日本と欧米先進国の犬猫の安楽死に関する比較〜資料集


欧米では、犬の安楽死は、病気や老衰による苦痛を味わう期間を少なくするために、むしろ積極的に行われているようだった。

日本では、飼い犬を安楽死するのは忍びない、さりとて、まだ意識のある可愛い愛犬を老犬ホームに出すのも可哀想と思う人が多いが、どうやら、欧米諸国では、そのような認識ではないらしい。


欧米での、ペット安楽死


このようなことから、日本では、飼い犬の安楽死はできるだけ選択したくない最期まで自分で看取ってあげたいと言う意識を強く持っている飼い主さんが多いのが、ラブラドール・レトリバーの頭数減少の要因の一つになっているのかもしれない。

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