【延命】 分子標的薬 【緩解】

分子標的薬とは抗癌剤です。
これまでの抗癌剤は、効きやすい細胞効きにくい細胞の差はあっても、基本的にはがん細胞以外の細胞も傷つけてしまうのが特徴でした。



癌+正常細胞の一部を攻撃
→ よく効くし、副作用の少ない抗癌剤 

癌+正常細胞の多くを攻撃
→ よく効くし、副作用が多めの抗癌剤

癌の一部+正常細胞の一部を攻撃
→ あまり効かないし、副作用も少ない

癌の一部+正常細胞の多くを攻撃
→ あまり効かないが、副作用は多い


人間用の抗癌剤治療の行われている病院の中には、がん細胞や正常細胞を一部抽出してどの抗癌剤がよく効く上に副作用が少なくて済むか調べるところがあるようです。

でも、分子標的薬の場合は、正常細胞を傷つけること無くキッチリがん細胞だけを狙い撃ちしますので、副作用は殆どありません
ただし、効かないケースも出てきます。


がん細胞を攻撃(正常細胞は攻撃しない)
→ よく効く

がん細胞を殆ど攻撃しない(正常細胞は攻撃しない)
→ 効かない


仮に、仮に分子標的薬が効かなくても、分子標的薬は副作用はほとんどないですので、身体的な負担は低くて済みます。


肥満細胞腫と分子標的薬

肥満細胞腫にも分子標的薬があります。
ただし、効く肥満細胞腫と効かない肥満細胞腫があります。
効く肥満細胞腫は、特定の遺伝子の変異から生ずる肥満細胞腫で、しかもそれも効く犬と効かない犬がいます。

ただし、効く犬の中には、完全に肥満細胞腫が消えて再発しないケースもあります。
どの犬がその遺伝子を持っているのかは、遺伝子検査を行えばできます。
動物病院で検査に回して貰えます。
(動物病院によっては、そう言うのはしていない動物病院もあるようです)

ただし、肥満細胞腫が縮小はしたものの消えなかった場合は、いずれ肥満細胞腫が分子標的薬に抵抗力を持ち効かなくなってしまいます。
すると、更に別の分子標的薬を使う必要が出てきます。
しかも、その分子標的薬がその犬に効くとは限らず・・・


分子標的薬と治療費について

分子標的薬は新しいお薬です。
発売されてからだいぶ経つお薬の場合、似た成分でジェネリック医薬品が出ていますが、新しいお薬はジェネリック医薬品が出ていません。

分子標的薬の中にも、もうすでにジェネリック医薬品が出ているものもありますが、担当の獣医師さんが使ってくれるとは限りません。
ですので、分子標的薬の治療を行う時は、治療費が高額になることを覚悟しておいたほうが無難かと思います。
(数十万〜百数十万円)

しかも、それで延命することしかできない可能性があることも考慮しておいたほうが良いように思います。(結局、延命治療を数十万〜数百万で行うか、延命治療は行わずに緩和療法に切り替えるかの判断をその時に迫られるんだと思います)


何をもって充分な治療と言うのか

犬は国民健康保険が適用されません。
ですので、自費診療が基本の国と同じような治療費に対する考え方が必要になってくるのかと思います。
その考え方とは、自分のお財布の範囲内でしか治療できないと言うことです。

確かに、大切な家族の犬に最新治療法や最新の医薬品を使いたいというのは山々ではありますが、犬の治療、それも手術で摘出することが困難な癌のような病の治療については、それを行なわないと言う選択肢もあるように思います。

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